薪ストーブを使っている話をすると、必ず聞かれることがあります。
『薪ストーブのある家って、室内全体が暖かいんでしょ?』と。
この質問に対して、『そう、めちゃ暖かいですよ!』と答える人と『いや、そうでもないですよ。』と答える人がいるはずです。
なぜ、2つの答えがあるんでしょうね。これには、次の4つの要素が絡んでいますよ。
- 薪ストーブの暖房面積
- 住宅の断熱性
- 薪ストーブの設置場所
- 住宅の間取り
薪ストーブで家全体が暖まらない、我が家の状況で説明してみましょう。
タップできる【目次】
1 薪ストーブの暖房面積
薪ストーブは製品によって、暖房能力(暖房面積)に違いがあります。
100㎡のストーブがあれば、150㎡のストーブもあります。ただし、これは薪ストーブの力を最大限発揮できた場合の数値です。
うちで使用している薪ストーブは、モルソー社の2110CBというタイプ。これの暖房能力は126㎡です。
ちなみに、数ある薪ストーブの中から、これを選択した理由は次の3つです。
- 観音開きの扉が珍しい。
- 45cmの薪が入る。
- 50%オフと安かった。
商品説明の少しイヤラシイところですが、暖房能力(暖房面積)に「最大」と表示していません。薪ストーブ専門店で、これについて説明はしてくれるものの、やはり最大数値を期待してしまいます。
では実際、我が家の薪ストーブはどれくらい温めてくれているのでしょうか?
我が家の図面。薪ストーブは、キッチンに設置しています。
250℃くらいで薪ストーブを運転した場合、色が付いている面積がおよそ暖気が行き届くエリアです。薪を何時間燃やしても、暖房面積はほぼ変わりません。
薪ストーブを中心に半径1m程度は半袖で過ごせます。半径2mエリアはシャツを羽織り、半径3mエリアはその上からフリースを着ています。
薪ストーブ設置前の暖房面積イメージ。
『暖房面積が126㎡だから、これぐらい暖かくなるはず!』という期待は、見事に裏切られたのです(笑)。
住宅雑誌などが特集する薪ストーブのある家で、薄着で過ごしている人の写真をよく見かけます。それとは、かなり違う環境の我が家。それは家の断熱性と関係がありました。
2 家の断熱性との関係
我が家は築40年の木造住宅。高気密・高断熱住宅ではなく、低気密・低断熱住宅なのです。どこからか隙間風が入ってくる、ということはありませんが、夏は暑く、冬は寒いです。
ガラス窓と戸が多いため、薪ストーブで作られた暖気は外に逃げやすく、外の冷気は室内に襲ってくるのです。
我が家のガラス窓とガラス戸の位置を確認するとよく分かります。暖気は外に逃げ、冷気大歓迎状態。
だから、少しでも暖かくなるように設置場所を考えました。
3 薪ストーブの設置場所
薪ストーブは設置場所によっても、部屋の暖まり方は違ってきます。
AとBでは、どちらが部屋全体を暖めることができるか?
答えはAですね。
部屋の中心に薪ストーブを置いている方が暖まりやすいですね。360°に熱を放出しますから。
Bだと熱を放出する範囲は180°と半分です。
我が家の場合は、少しでも暖房面積が広がるようにと、Aに近いパターンでキッチンに設置しました。おかげで、料理の際にはとても重宝していますね。
ただ、メリットばかりではありません。当然デメリットもあります。それは、薪ストーブを使用しないオフシーズンは、動線の邪魔になります。まったく機能しないインテリアが、部屋の真ん中にあるわけですから。
できるだけ暖房面積を広げたいと思っても、「間取り」との相性が悪ければ、家全体が暖まりにくいのです。
家の間取りと薪ストーブ
我が家は東西に長く、部屋数が多い住宅です。LDKが広い住宅であれば、薪ストーブの熱はうまく広がるはずです。
ところが我が家のように部屋数が広く、内部のあちこちに壁があると、そうはいきません。実際は図のように暖気は広がっていないのです。
仕切りが多い間取りだと、薪ストーブの能力を最大限に活かせないということです。
とはいえ、せっかく設置した薪ストーブで暖房面積を広げたいのです。
ファンを使って、暖気を送る
薪ストーブ設置1年目は、暖房面積が予想より狭かったため、どうにかして暖房面積を広げる方法を考えました。
その結果、2年目にこれを試すことにしたのです。
薪ストーブ周辺の暖気を、できるだけ遠くへ送ってくれるファンです。設置は簡単で、薪ストーブの上に置いておくだけ。熱に反応しファンが回転しますから、電源が必要ないのです。
ファンを設置した結果、もう少し暖気が欲しかった部屋の隅や脱衣所まで、ほんのり暖かくなったのです。
ただし、扇風機のように首振り機能はないため、暖気を送る方向へエコファンを手で動かします。
とはいえ、かなり有能なアイテムですから、もう1台購入したいところ。しかし、うちの薪ストーブのトップ面積は狭いのです、エコファンを2台置くと鍋・やかんを置く場所が少なくなってしまうため、未だ検討中です。
さいごに
薪ストーブを使っている家は、室内全部が暖かいわけではないのです。購入・設置を検討する際には、次の4つを考慮してみてくださいね。
- 薪ストーブの暖房面積
- 住宅の断熱性
- 薪ストーブの設置場所
- 住宅の間取り
設置後に、暖房面積を少しでも広げたいという人は、エコファンを置くといいですよ。
では、素敵な薪ストーブライフを!